美味しい映画を召し上がれ。

華流映画で見る中華圏のカルチャー

 


華麗なる恋バナ&中国料理の世界

 

恋人たちの食卓 /原題:飲食男女

監督 アン・リー(李安)

 

中華圏の人たちにとって「食べる」ことは、どうやらとても重要なことのようである。挨拶替わりに「ごはん食べた?」と聞きあう文化は我々日本人にはない面白い習慣だ。日々の生活の中で、彼らが食べることに非常に重きを置いていることをそのまま表していると言ってもよいだろう。....続きを読む

 


酒とタバコと鴨の首料理。屋台街で暮らす女の生き様

 

ションヤンの酒家(みせ) /原題:生活秀

監督 ジャ・ジャンクー(樟柯 

 

薄暗く狭いトンネルのような通路を歩く女の後姿が大きく映し出される。女は紅い鴨の首料理を盛った皿を右手で高々と掲げ、もうもうと白い湯気の上がるステージへさっそうと登場する。そこは重慶にある屋台街の一角。彼女が切り盛りする小さな酒場「久久酒家」だ。ヒロインはこの屋台....続きを読む


大人の恋と上海ノスタルジー。甘く切ない歌声に乗せて

 

花様年華 (かようねんか)

監督 ウォン・カーウアイ

 

冷たい壁で隔てられた別々の小さな部屋の中。そこには寂げな男、すすり泣く女の姿が見える。ラジオから聞こえてくるのは誕生日を祝うあのメロディー。ノスタルジックなイントロに続き、周センが細く高い声で切々と歌う「花様的年華」 が優しく響く――。....続きを読む

 


グラスに浮かぶ茶の葉が占う恋の行方

 

緑茶

監督 チャン・ユアン(張元)

 

ベネチア映画祭銀獅子賞受賞「ただいま」(原題:過年回家)のチャン・ユアン(張元)監督作品「緑茶」。美しい映像美とサスペンスタッチのストーリー展開で中国の人々の新しいライフスタイルと価値観、都会で彷徨う男女の姿と人間模様を軽やかに描写、センス良く「魅せてくれる」恋愛ストーリーだ。....続きを読む


天使か魔物か?愛されすぎた男の悲劇

『白蛇伝』の愛憎物語

 

洋の東西を問わず語り継がれた伝承や神話には『異類婚姻譚』をテーマとしたものが多い。男に命を助けられた女が実は動物、魔物の化身だった・・・というプロットはありふれたものだ。中国では怪奇譚集『聊斎志異』にも多く書かれており、日本では『雪女』や『鶴の恩返し』などの有名な物語を思い浮かべる人が多いだろう。....続きを読む